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〜栃木路をゆく その9.蔵の町を歩く〜
今回の「栃木路をゆく」は、蔵の町"栃木市を歩く"をお届けします。

宇都宮から南西に位置する栃木県栃木市は、江戸時代に利根川水系の巴波川(うずまがわ)を利用した舟運による物資の輸送拠点として栄えていました。その後の廃藩置県により、1871年(明治4年)、最初に県庁が置かれたことが今日の栃木市の名前の由来となっているようです。

旧栃木県庁周辺には巴波川から引き込まれた水路があり、現在の栃木市役所、市立栃木中央小学校、県立栃木高校の区域を囲む、東西約246m、南北約315mの「県庁堀」が遺構として現存しています。 このような歴史背景もあってか、水路と蔵造りの家屋が共存した風情豊かな街並みに、明治、大正、昭和の歴史的な建造物が点在していて、散策には絶好の場所と言えます。
では、ご一緒に散策してみましょう。

最初に訪れたのは、1921年(大正10年)に建てられた近代建築、旧栃木町役場庁舎です。
町役場庁舎とは今日の栃木市役所にあたりますが、現在は栃木市教育員会の建屋となっています。
 
その傍らの石碑には、栃木県議会発祥の地とありました。


ほどなく巴波川の本流に差し掛かります。
整備された石畳が続く川辺は、対岸に蔵を臨みながらの散策になりますが、時間があれば"蔵の町遊覧船"を楽しむのも良いでしょう。
  
ガイドブックによると、この場所ではたびたび時代劇のロケが行われ、大ヒットした時代劇"JIN-仁-"にも登場するそうです。ファンの方は是非抑えて置くべきでしょう。


さて、続いてメイン通り(日光例幣使街道)に歩をすすめると、所々に歴史的な建造物を目にします。
その多くは商用施設としてうまくアレンジされていて、個性豊かなお店として利用されています。
とりわけ目を引くのが、旧足利銀行栃木支店を改修して洋風レストランとして営業しているお店です。



ここは、映画"ALWAYS三丁目の夕日"のロケに使われた場所で、文学青年役の吉岡秀隆さんが指輪を買いに行くシーンで登場する、東京銀座の宝石店です。 高い天井とステンドグラスから差し込む柔らかな光が印象的なお店でした。



続いて、旧例幣使街道沿い"栃木市嘉右衛門(かえもん)町伝統的建造物群保存地区"です。
江戸時代から昭和に渡り、それぞれの時代時代を象徴する伝統的な建造物が立ち並んでいる地域です。
 


散策の最後は、県立栃木高校の中を横切る県庁掘です。

記念碑には、グランドの傍らにあった県庁掘りは、一時期埋め立てていたものを掘りなおして、
当時の卒業生が99匹の鯉を放流したと記されていました。

そう言えば、巴波川、県庁掘とも30cmはゆうにあると思われる鯉や錦鯉が悠々と泳いでいました。
人と鯉の共存というところでも、永い歴史ある栃木市を象徴しているのかもしれません。